DIARY

TITLE : ユメノオワリ ユメノハジマリ

2018年8月21日。平成最後にして第100回を迎えた夏の甲子園が終わりを告げた。この大会にきら星の如く現れた主役が、秋田県立金足農業高校だった。平成最後の怪物と称されたエース吉田投手を大黒柱に、バントやスクイズを多用する試合運び、メンバー全員が地元秋田の選手、公立農業高校、試合後に体をのけ反らせて歌う校歌斉唱。その全てが昭和の匂いがするチームだった。
一回戦から二桁奪三振を記録し、逆転ホームランで勝ち上がったかと思えば、史上初のサヨナラツーランスクイズで劇的な勝利をもぎ取るなど、魅力に溢れたチームだった。秋田から飛び火した金農応援は列島を飲み込み、いつしか旋風となって甲子園を包み込んだ。秋田県民ですらここまでの活躍は予想外であり、決勝に進むなど誰が予想しただろうか。勝ち進むにつれて応援の声は大きくなり、期待が希望になり、それはいつしか願いへと変わる。秋田県のみではなく、東北6県にとっての悲願。深紅の大優勝旗の白河の関越えである。
公立高校、地元選手、103年ぶりの決勝、100回記念大会での悲願達成。全ての要素を持ち合わせて決勝の舞台で待っていたのは、王者大阪桐蔭。私立高校、エリート集団、春夏連覇、と金足農業とは対極の要素を持った高校である。チームとしての総合力は大阪桐蔭が圧倒的に上。しかし、甲子園の魔物とやらも、103年も居座ってりゃ、100回記念大会位は忖度してくれるのではないか?そんな想いすらも甲子園で投じた881球に体が先に悲鳴を上げた。終わってみれば大会前の予想通り、大阪桐蔭の春夏連覇。またしても東北の悲願は、打ち砕かれた。

平成最後の百姓一揆と言われ、県民に夢を与え、全国の公立高校に希望を与え、
東北の悲願を乗せた金足農業高校。

この夏の主役は県民の贔屓を差し引いても、間違いなくこのチームだった。昭和の匂いに誘われた高校野球ファンを飲み込んで、最後に彼等が見せた涙に送られた万雷の拍手が、この甲子園に刻んだ、彼らの物語の終焉を告げていた。

ー夢の終わりは夢の始まりへ。

ありがとう金足農業高校。

甲子園に吹いた一陣の爽やかな風に当てられて、一夏の眩い夢を見させてもらった。

Naoto Monma / Writer